四歳の春。<br />巨大団地を出て、初めて幼稚園に向かった。<br />この四〇〇メートルが、自由を獲得するための冒険の始まりだった。<br />忘れたランドセル、家族への違和感、名づけの秘密……。<br />錯綜する記憶の中で、母に手を引かれ、世界を解明する鍵を探す。<br />生きることに迷ったら、幼き記憶に潜ればいい。<br />強さと輝きはいつもそこにある。<br />稀代の芸術家による自伝的小説。<br />