TOKYO WATER TOWER
ようこそ、給水塔ワンダージャーニーへ アバンギャルドでクール、モダンで斬新、東京の給水塔かつて、工場や団地などの大規模施設になくてはならないものが給水塔でした。
海外では装飾が加えられランドマークとして愛されている給水塔ですが、日本では装飾を排した独特のモダンデザインが主流。
その役目を終えた最近まで、さまざまなデザインのものが建てられてきました。
給水塔をまじまじと観察したことのある人は多くないと思いますが、バリエーション豊富なフォルムは、一度気になりだすと引き込まれる魅力をたたえています。
本書は、失われつつある昭和の風景のひとつである給水塔を、独特のタイポロジー的な手法で撮りためてきた写真家親子による、給水塔の聖地・東京の給水塔図鑑兼ガイドです。
── 始まりは、ベッヒャー夫妻の写真集『WATER TOWERS』だった。
確か1990年頃、神田のアート系古書店で、それを手にした。
ヨーロッパ、アメリカなどの古い給水塔が、モノクロームで細密に撮られていた。
その圧倒的な数と驚くべき形、歴史、そして静謐感。
それに比し日本には、歴史ある給水塔は数が少ない。
しかし、戦後の象徴的風景と言える「団地」という住空間に給水塔が建てられた。
日本独自のデザインを持った、シンプルでモダンなフォルム、カラーリング、想像を超すその大きさ。
それが日常空間の中に唐突に忽然と姿を現す。
その違和感。
そのデペイズマン。
マーベラスとしか言いようのない感動。
気がつけば私たちは、そのワンダーを求めて、彷徨するように「東京給水塔巡礼」を始めたのであった。
オオタ マサオ─ はじめに「「水の塔」を求めて」より
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