白線入りの帽子にマントを身にまとう選良民=旧制高校生は、「寮雨」を降らせ、ドイツ語風のジャーゴンを使い、帝国大学を経て指導者・知識人となる。<br />『三太郎の日記』と「教養主義」、マルクス主義との邂逅、太平洋戦争そして戦後民主主義へ……。<br />近代日本を支えた「社会化装置」としての「旧制高等学校的なるもの」を精査する。<br />――<解説・関川夏央>