『宝慶記』は、若き道元禅師(1200?1253)が仏道を究めんと南宋に渡り、燃えたぎるような情熱をほとばらせて、正師たる長翁如浄禅師(1162?1227)に拝問(古徳先哲に対して言葉や文章をもって丁重に質問すること)した求道の記録です。<br />それはまた、道元の問いに真摯に答えた如浄という老古仏が、正伝の仏法である只管打坐の世界を道元に嗣続せしめんとした、まことに慈悲深い慈誨の記録でもあります。<br />