敗戦直後の、あらゆる価値が崩壊したかに見えた世相にあって、徳田球一と志賀義雄の「獄中十八年、非転向」がどれほど眩しく見えたか。<br />それは多くの若者や文学者が続々と入党したことからも明らかです。<br />共産主義者としての来し方を述べた本書は、親しみやすい語り口もあってベストセラーとなりました。<br />多分に政治的文書であると同時に、ある時代の息吹を伝えるすぐれた文学的回想として文芸文庫に収録するゆえんです。<br />