ルートヴィヒ・ヴィトゲンシュタインが生前に公刊した著書は、たった2冊である。<br />1冊は『論理哲学論考』(1922年)。<br />この書をもって、哲学のすべての問題は解決されたと確信したヴィトゲンシュタインは、哲学から離れ、小学校の教師に転身を遂げる。<br />教師として暮らす中でその必要を感じ、みずから執筆したのが、残る1冊である本書(1926年)にほかならない。<br />本書は、その本邦初訳となる記念碑的訳業である。<br />