「もう、終いにする」。<br />戦後の知識世界に輝くビッグネーム・小林秀雄が、晩年、10年にわたって取り組んだ『本居宣長』は、執筆に難渋し、結論に達しないまま意外な一言で終わってしまった。<br />日本が誇る知性は、なぜ最後の仕事で挫折したのか。<br />彼がこの書物にかけた思い、そして小林がたどり着きたかった「ゴール」はどこにあったのか。<br />小林の批評ぶりを多角的に検証しながら、批評とは何か、その原理について考える。<br />