完璧という領域
熊川哲也、21年ぶりの自伝Kバレエカンパニー旗揚げ、古典全幕作品上演、バレエスクール主宰、日本発オリジナル作品創造、オーチャードホール芸術監督、そしてさらなる新たな創造。
前人未踏の軌跡が今、本人の手で明かされる――。
その男の登場に、コヴェントガーデンは熱狂した。
喝采は日本に引き継がれ、男が巻き起こす旋風は一つ一つが事件になった。
芸術としてのバレエだけでなく、ビジネスとしてのバレエを成功に導くために、大企業と渡りあい、劇場を運営し、ダンサーとスタッフを育てる。
世界に輸出するために、完全オリジナル作品を創造し続ける。
そのようなことが、たった一人のバレエダンサーに可能だと、誰が想像できただろうか?「完璧など存在しない」と人は言う。
だがそれは失敗から目をそらしたり夢をあきらめたりするための言い訳にすぎない。
たしかに作品を「完璧という領域」にまで到達させるには、ダンサーの心技体だけではなく、オーケストラやスタッフ、観客、劇場を含むすべてが最高の次元で調和しなければならない。
それは奇跡のようなことかもしれない。
しかし「完璧という領域」はたしかに存在する。
偉大な芸術はすべてそこで脈打っている。
僕はつねにその領域を志向してバレエに関わってきた。
――「はじめに」より抜粋第一章 Kバレエカンパニー始動第二章 母なる『白鳥の湖』第三章 ダンサーの身体第四章 試練のとき第五章 いにしえとの交感第六章 舞台の創造第七章 才能を育てる第八章 カンパニーとともに第九章 見えない世界
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