トマス・アクィナス『神学大全』
「挑戦の書」として『神学大全(スンマ)』を読む!「スコラ学の代表的神学者」が書きあらわした、邦訳にして45冊に上る大著。
そのような物々しさに惑わされず、「ひとりの修道者としてのトマス」による「一冊の書物」として『大全』を読む。
すると、アクチュアルな探究者としてのトマスの姿が浮かび上がり、彼から現代に生きる私たちへのメッセージが聞き取れる。
神とは何か。
創造とは、悪とは、そして人間の幸福とは?キリスト教の根源にトマスはいかに挑んだか。
斯界の第一人者が、やさしく、そして誠実に、核心を読み解く。
【本書より】トマスの言う「神学」はその全体が知恵の探究であり、そして知恵のみがわれわれに人間の幸福をあきらかにしてくれるのですから、知恵の探究はそのまま真実の幸福への道を切り開く営みにほかなりません。
言いかえると『神学大全』における知恵の探究は、トマスという一人の人間が、人間であることを学び、人間であることの完全な実現―それが「幸福」の意味です―をめざして行ったパーソナルな探究の記録であり、キリスト信者であろうとなかろうと、人間であることを真剣に受けとめる者にとってはけっして無縁な書物ではないと思うのです。
【本書の内容】はじめに―『神学大全』をどう読むか第一章 挑戦の書としての『神学大全』第二章 神の問題―「五つの道」の意味第三章 「交わり・即・存在」―人格[ペルソナ]のパラドックス第四章 創造と宇宙論第五章 「悪」の問題第六章 すべての人が幸福を欲しているか? 第七章 トマスの政治哲学―「共通善」の復権おわりに―「トマス主義者」ではないトマス※本書は2009年に講談社選書メチエより刊行された同名書の文庫化です。
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