脳から見るミュージアム アートは人を耕す
ウィズ・コロナの新しい生き方を模索し始めた今こそ、私たちに必要な、脳に効く「美」を求めて、ぜひミュージアムに出かけてみてはいかがだろうか?実は、ミュージアムは「美」が展示されているだけの場所ではない。
知れば知るほど、とてつもなく奥が深い世界なのだ。
人類の記憶のアーカイブに潜っていくような、(良い意味での)妖しさ、ヤバさがある。
東京藝大には大学美術館があるが、大学美術館准教授の熊澤弘先生はいわば「ミュージアムの達人」で、世界のミュージアムの成り立ち、展示、ミュージアムの持つ資料から博物館学の実習に至るまで、私が教えを乞うている先生の一人である。
ここからは熊澤先生の力をお借りして、仮想ゲームのミュージアムよりも、リアルなミュージアムこそがはるかに熱いのだ――ということを読者の皆さんと一緒に体験していきたい。
言ってみれば、探検家・中野信子が、案内人・熊澤弘先生とともに、ミュージアムの深遠なる魅惑の世界に分け入っていこうというわけだ。
この「探検本」を読み終えるころ、読者の皆さんは、世界各地のミュージアムの歴史やそこに所蔵された作品の面白さはもちろんのこと、その舞台裏で静かに働いている学芸員の役割やアートの鑑賞術などの基礎知識も身につけているはずだ。
ミュージアムは、入る前と後とで物の見方が変わる体験ができる場所だと思うが、この基礎知識を身につけることで、ミュージアムに行く体験自体がこれまでよりもより深まるかもしれない。
(中野信子)<主な内容>はじめに ミュージアムは脳に似ている(中野信子)第1章 ミュージアムの誕生:その華麗にして妖しい魅力に満ちた世界はじまりは「驚異の部屋」/記憶の三段階/コレクターと「絶対美感」/美術品は誰のものか第2章 ミュージアム、その陰の部分:論争・ワケあり・ヤバいものナチスに翻弄されたコレクション/マインド・パレスを支配する/学芸員の使命/大量殺人犯の作品の展覧会第3章 実際に鑑賞してみる:どんな作品をどのように観たらよいか?中村キース・ヘリング美術館の感性/金沢21世紀美術館の賢さ/正しい鑑賞法なんてないか?/ルーヴル美術館で遭難しかける第4章 これからのミュージアム体験:アートはなぜ必要なのか?アフター・コロナの課題/現代アートはわかりにくい?/アートが社会にもたらす絶大な効果おわりに 日本は世界に類を見ないミュージアム大国(熊澤弘)
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