万葉集から大化の改新と明治維新の心を探る
日本人の精神構造と文化は国際的に見て、大変特徴ある独特なものではないかと感じています。
その根拠を日本人の歴史から読み解くことは、意義深い味わいのあるものであろうと考えて、表題のような「大人の絵本」を執筆してみました。
日本の歴史の大きな節目を振り返ってみます。
聖徳太子が憲法十七条を制定して、国家としての形が整いはじめ、遣隋使、遣唐使らが中国文化、仏教思想を持ち込み、万葉集、古今集が編纂され、日本人独特の文化として昇華させました。
人々に精神的安定と文化への意識が芽生え、大化の改新、壬申の乱を経過した鎌倉幕府の武士政権が確立してから室町時代を迎え、戦国時代に突入しました。
織田信長、豊臣秀吉の出現後、徳川家康による長期安定政権への道を歩み、日本独特の文化を完成させました。
徳川政府の鎖国政策は日本文化の構築に大きく働きましたが、その反面、国際的文明から取り残され、大変な遅延状態をもたらしました。
そのことに気付いた国民は明治維新へと向かいました。
かくして近代日本がスタートして現代があります。
この節目を振り返ってみますと外国文化を取り入れて、大きな変換期を迎えた時期として、大化の改新前後と明治維新前後の状況に多くの類似点があり、対比して評価することは、大変興味深いと考えました。
この絵本では万葉集を紐解きながら、著者のスケッチを交えて日本人の心を探ってみたいと考えました。
拙い文字で恐縮ですが、自筆で万葉集を紹介させていただきます。
明治維新前後の人々は攘夷、尊王、佐幕のいずれの道が正しいかという確かな道しるべがない混沌とした社会で、悩み抜いて生きていかなければなりませんでした。
すべての人に共通した信念としては、祖国日本を守らなければならないということでした。
平和な社会を築こうという認識はすべての国民に共通した願いでありました。
その精神構造の原点は、万葉集のなかに詠われている自然の美を愛し、生きる姿、愛の心、忍耐と寛容の中に和を見出してきた日本人の魂です。
聖徳太子の憲法十七条の基本理念は和でつらぬかれており、富士山は誠に容姿端麗で謹厳な姿を万人に見せ、万葉時代から日本人すべての人に敬う気持ちを広く植え付けてきたのでした。
岩倉使節団の行動、精神構造を長年研究して、今後の日本の将来をどのように展望すべきかを考えてきた著者は、万葉集の精神と使節団の偉人たちの心を振り返ってみたいと考えた次第です。
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