味覚喪失
ある日突然、ひとりのテレビマンに宣告される病’がん’。
宣告される数カ月前には健康診断で綿密な検診をしていたにもかかわらず、喉に見つかったのは ’中咽頭がん’。
ステージレベルはIIとIIIの間。
戸惑いと不安を隠しきれないまま臨む35回の放射線治療と3回の抗がん剤投与。
がん治療が進むにしたがって変化していく自分の体の様子を、テレビマンの性なのか著者はジャーナリスト的視点で、自らの変化を客観的に見つめ克明に記録していく。
一般的にがん治療においては、「抜け毛」が副作用の代表格だが、あまり知られてはいないもうひとつの副作用「味覚障害」を侮ってはいけない。
「味覚障害」=「味が消える」ということは、食べ物が食べ物ではなくなるということなのだ。
この「味覚障害」を乗り越えることこそが、がん患者にとって体の回復の生命線となる。
著者は意外にも早く味覚障害の症状を感じはじめ、遂には完全な味覚障害者へとなっていく。
少しでも味覚が反応する食べ物はないものかと、もがき苦しむ著者がとった行動は、人体実験的食材レシピ探し。
様々な場面で色々な食材・調理方法による料理を自ら試食しながら、たとえ味覚障害であっても食べることが出来る食材・調理方法を探していく。
そんな中、著者はある事に気づく。
それは「脳」と「味覚」の関係。
その気づきを境に、「味覚喪失」の状態だからこそ実験を開始。
「塩味・甘味・酸味・苦味・辛味を感知する機能が消えていても、脳が感じとる食材・調理方法はないものか?」をテーマに、味覚障害に陥ったがん患者への食材・調理方法を探し出す人体実験が始まっていく。
味覚喪失だからこそ見えてくる脳と味の不思議な関係。
更に、「味覚障害」を克服するためのレシピも考案し、がん患者、家族、栄養士の方々への参考レシピ情報として公開。
「がんを怖がらず」「がんから逃げず」「がんを悲しまず」という決意で綴られた「人体実験的記録ドキュメント」がん闘病体験記である。
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