マルコ伝
本書はR.シュタイナーによる福音書解釈のなかでもとくに出色のものと言われています。
これまで長く翻訳では読むことのできなかった作品です。
内容については、監修者の新田義之氏の本書の巻末に書かれた一文(一部抜粋)をご覧ください。
シュタイナーの『マルコ伝』について 新田義之(1981年記)私にとっては『ルカ伝』と、この『マルコ伝』とが特に興味深く思われた。
と言うのは、『ルカ伝』には明らかにグノーシスの思想を根底とするシュタイナーのキリスト観が、従来のどの作品の場合よりも鮮明に示されているように見受けられたし、又、現在の人智学的キリスト教考古学が、盛んに中世美術の中にその証拠を探し求めている「二人の少年イエス」の考え方が、他作品のどれよりも明瞭に打ち出されているからであり、『マルコ伝』においては、これまでの一連の福音書解釈のしめくくりをする位置にある講演であるにもかかわらず、その結論である「無花果の樹にはもはや花咲かず、十字に組まれた枯木に、つり吊げられたイエスの肉体という花が咲く」というイメージに至り着く道程に、不思議なほど多くの思わせぶりな、時によっては極めて感情的とも見られる表現が混じっており、彼の思想家としての歩みを考える上での一つの手がかりが、そこに求められるからである。
本書は1981年9月に人智学出版社より発行された『マルコ伝』を復刊したものです。
復刊に際しては、発行当時の時代背景を考慮して原本をできるだけ活かすこととしましたが、監修者・訳者による若干の語句の修正が行われています。
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