二人の出会いは、和歌山県・白崎海岸。<br />短歌を愛し、三十一文字を心で追いながら海沿いの道を歩く美子(みこ)の目に、一心不乱に絵を描く青年、博(ひろし)の姿が映る。<br />美子が22歳になったばかりの晩夏のことだった。<br />歌と絵に結ばれた二人であったが、美子には辛い未来が待ち構えていた――。<br />和歌山の美しい自然に思いを寄せ、悲しみをも包み込む、繊細で豊かな詩情溢れる短歌に彩られた小説。<br />