うつは移して治す―ある精神科医の「野生の思考」
その精神科医は白衣を着ない。
理由その1、白衣は患者と医者の間に障壁となって、無用な緊張を生み出しかねないから。
理由その2、診断、治療にとって最も大事な「共感」することを妨げる可能性がある。
その「共感」を重視する診察室では、実にさまざまな会話が患者たちと繰り広げられる。
野球、将棋といった趣味の話から、姑との確執のような人生相談に近いものまで、想像以上ににぎやかでバラエティに富んでいる。
そして、その過剰な会話に疲れた時には、統合失調症患者の「サラサラした」存在感が癒してもくれる。
患者の気持ちを和らげることに心血を注ぎ、人間を愛してやまない精神科医による、精神疾患を心理的、社会的、生物学的視点といった多方面からアプローチしたエッセイ集。
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