診断治療の質を上げる ペイシェント・ベイスド・メディスン
環境的要因と遺伝的要因から最適な治療を導く。
医療の質を向上させる新たな概念「PBM」とは--------------------------------------------------------------1990年代にカナダで提唱された「エビデンス・ベイスド・メディスン(Evidence-based Medicine:以下EBM)」はエビデンスに基づく医療によって、より良い治療を目指そうという考え方です。
今日ではEBMは広く医療の場に普及し、医師のみならずコメディカルの間でも当然の治療法として受け入れられています。
EBMの普及によって医療の質は大きく向上しましたが、これ自体は標準化された治療方針で患者個々の出身地や遺伝情報などの背景は考慮されていないため、EBMだけでは最適な治療法が提供できないことがあります。
著者の病院は眼科の単科病院ではありますが、年間10万人を超す外来患者が受診しています。
著者は膨大な患者のデータから出身地や生活歴などに焦点を当てた臨床研究を行い、その結果を利用してより良い治療を目指すという「ペイシェント・ベイスド・メディスン(Patient Based Medicine:以下PBM)」という考えを提唱しています。
地域包括医療で地方ごとの医療体制の強化が進む中、その地方で起こりやすい疾病と原因を医師が患者のデータから分析するPBMが、医療の現場で一般的に受け入れられれば、医師は患者一人ひとりに適したより良い医療を提供できるようになるのです。
本書では、現役の眼科医が分かりやすく図版を豊富に使って、一人ひとりの患者と向き合うペイシェント・ベイスド・メディスンについて解説していきます。
医師だけでなく、医学生や眼科を専門としていない医療従事者にも読んでもらいたい一冊です。
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