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漱石、シェイクスピアに挑む ──’物凄い’文学の手際

夏目漱石研究は、出つくした。
そう断ずるのは、まだ早い。
作家漱石に師はなかった。
しかり、シェイクスピアを除いては――。
日本語・日本文学の枠を超え、シェイクスピアとの対峙を洗い出したときに見えてくる全く新し い漱石論。
夏目漱石は、世界に先駆けた文学理論書『文学論』でシェイクスピア作品を最も多く引用しているばかりでなく、東京帝国大学での講義録やメモ・蔵書書き込みなどでもその「面白さ」を盛んに称讃・解析している。
かつそこには、作家漱石がこの文豪の手法を自作に生かそうとした形跡も探知される。
そもそも文学が「面白い」とはいかなる「事実」に由来するのか?――本書では、漱石の「批評的鑑賞」の姿勢を継承し、《シェイクスピアに向き合う漱石》の全貌を明らかにしたその先に、『こころ』など主要作品の深層を浮上させる。
知的に爽快な、生きた文学論である。
佐々木英昭の頭脳は漱石と共に動く。
明治の英文学者はシェイクスピアをどう読み、作品にどう用いたか。
分析の心理は鋭く、手際は鮮やか。
平川祐弘(東京大学名誉教授)「心理学」確立以前に漱石が苦労して到達した、言わば「下意識」を表現する手法の歴史性を解明している秀書。
漱石がなぜ現代に至るまでこれほどの感動を呼ぶのかが分かる。
ソーントン不破直子(日本比較文学会会長・日本女子大学名誉教授)




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