恋人の家を訪ねた青年が、海からの風が吹いて初めて鳴る〈鳴鱗琴(メイリンキン)〉について、一晩彼女の弟と語り合う表題作、言葉を失った少女と孤独なドアマンの交流を綴る「ひよこトラック」、思い出に題名をつけるという老人と観光ガイドの少年の話「ガイド」など、静謐で妖しくちょっと奇妙な七編。<br />「今は失われてしまった何か」をずっと見続ける小川洋子の真髄。<br /> ※新潮文庫に掲載の「著者インタビュー」は、電子版には収録しておりません。<br />