いちばん好きなものは? と問われたら、鮨と答える、にぎっている時の主の眼の輝きがすばらしい。<br />少年時代、どんどん焼屋に弟子入りしようとして〔鳥の巣焼〕という珍品を発明する。<br />松阪牛が丹精こめられた処女なら、伊賀牛はあぶらの乗りきった年増女、これをバター焼、ついですき焼と賞味する。<br />おいしい食べ物に託して人生観を語る無類のエッセー。<br />著者自筆のカット7点挿入。<br />