1986年、入省二年目の私はイギリスにいた。<br />語学研修に追われる単調な日々の小さな楽しみは、ステイ先で出会った12歳のグレンとの語らいだった。<br />ロンドン書店巡り、フィッシュ&チップス初体験。<br />小さな冒険を重ね、恋の痛みや将来への不安を語りあった私たちは、ある協定を結んだ……。<br />聡明な少年を苛む英国階級社会の孤独と、若き外交官の職業倫理獲得までの過程を描く告解の記。<br />