コンピュータにはなく、人間の思考にだけあるもの、それは「死」の感覚と「他人の不幸を思いやる気持ち」。<br />数学者だからこそ見極められた明晰な論理の底には、深い情緒が流れている。<br />妻の初産にうろたえる夫の心、思考の限界に挑む学者の気概、父・新田次郎の足跡をいつくしむ旅の日記。<br />そしてちょっとトボけた身辺雑記。<br />数学者にして名うてのエッセイストが贈る、選りすぐりの随筆集。<br />