癌病と闘う妻の看病に明け暮れる日々、折々に私の記憶の底から立ち現れるのは、人生という旅の途中に出遇った人々の姿だった。<br />父、母、旅芸人の息子、特攻帰りの教師、樺美智子、インドの老車夫、立川談志、軍歌を歌い合った老婆……。<br />それぞれの生、それぞれの死に深く憶いを致す、自伝的連作考量(エッセイ)。<br />そして、妻を看取るまで。<br />