漱石は三代目小さんを「天才である。<br />あんな芸術家は滅多に出るものぢやない」と評した。<br />僕たちには立川談志がいた。<br />あの最後の名人は稀代の名文家でもあった。<br />漱石に倣えば、少し前に生まれても談志は聞けなかった。<br />少し遅れても同様だ。<br />けれど、文章はいつだって読むことができる。<br />談志師匠の声が聞こえてくる。<br />没後三年、落語と人生を論じ尽したエッセイ集。<br />