東京・本郷の床屋の二階に間借りをし、貧窮と病気に苦悶する石川啄木。<br />唯一の慰みに創作を続ける啄木を、「実人生の白兵戦の真っ只中」へと追いやる生きる苦しみの数々――。<br />妻と母の確執、禅僧気取りの父、妻の家出と浮気の疑い、親友金田一との訣別……。<br />人生の修羅場で呻吟する啄木の凄絶な晩年を、笑いと感動溢れる戯曲に昇華した表題作の他、「日の浦姫物語」を収録した戯曲集。<br />