池波正太郎のエッセイには――男の本音がある、人生がある、生きる楽しみを享受する男のリズムがある。<br />作家への道を拓いた幼き日の観劇の一日、手と躰で物を造る感覚を養った旋盤工時代、行きづまった小説の結末を見いだしてくれた飼い猫ネネの話、映画のこと、衣食住について、現代人の見失ったもの、仕事の裏ばなしなど……。<br />手練の切れ味を見せる‘とっておきの51話’。<br />