独裁者の私利私欲は時に人間くさく、庶民の振りかざす正義は時に傍迷惑なものとなる。<br />歴史に深慮があったとしても、人間の浅知恵はそれを損なわずにはいられない。<br />ベトナムの戦野を駆け、現代史を彩る指導者たちと渡り合ってきたジャーナリストにして希代の名文家が、透徹した視線で世界を見つめる。<br />偽善の衣をまとっていても、著名な役者と名も無き衆生が織りなす歴史のタペストリーは鮮やかで美しい。<br />