暗い夜、星を数えて―3・11被災鉄道からの脱出―(新潮文庫)
遺書は書けなかった。
いやだった。
どうしても、どうしても――。
あの日福島県に向かう常磐線で、作家は東日本大震災に遭う。
攪拌(かくはん)されるような暴力的な揺れ、みるみる迫る黒い津波。
自分の死を確かに意識したその夜、町は跡形もなく消え、恐ろしいほど繊細な星空だけが残っていた。
地元の人々と支え合った極限の5日間、後に再訪した現地で見て感じたすべてを映し出す、渾身のルポルタージュ。
(解説・石井光太)
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