言い訳――窮地を脱するための説明で、自分をよく見せようとする心理が働くので、大方軽蔑の対象になる。<br />しかし文豪たちにかかれば浅ましい言い訳も味わい深いものとなる。<br />二股疑惑をかけられ必死に否定した芥川龍之介。<br />手紙の失礼を体調のせいにしてお茶を濁した太宰治。<br />納税額を誤魔化そうとした夏目漱石。<br />浮気をなかった事にする林芙美子等、苦しく図々しい、その言い訳の奥義を学ぶ。<br />(解説・郷原宏)