日本文化が滅んでBABYMETALが生まれた
2014年、三人の少女からなる日本のメタルアイドルグループ「BABYMETAL」が世界の音楽シーンに登場し、またたく間に大人気となった。
その神懸かり的な音楽パフォーマンスをもって欧米の大人達を熱狂させて急速に世界進出した光景は、「BABYMETAL現象」と称されている。
この現象を描写し、さらに日本文化史の観点から解説する。
だが日本国内では、BABYMETALの世界の音楽シーンにおける成功の実態はあまり知られておらず、海外発ニュースによって逆輸入アイドルという錯覚が広まっている。
BABYMETALの音楽スタイルはあくまで特殊日本的な形態であり、本来は日本の音楽業界以外では人気を得ないものであるはずだった。
ところが世界の音楽シーン席巻という、本来起こり得ないはずの出来事が起こってしまったのだ。
その成功した背景を象徴するキーワードとは、「大人文化と子供文化の合体」である。
BABYMETALの音楽スタイルの実態とは、滅びかけている日本古来の大人文化の残骸の上に乗り、戦後日本に発生した子供文化の衣をかぶり、欧米の音楽形態を借りて成り立っているのである。
そして戦後に伝統文化が廃れ形骸化するに伴って成立した子供文化とは、わずかにこの七十年にも満たない歴史の泡に過ぎないものである。
この時にBABYMETALの起こり得ないはずの世界進出という現象が起こった。
この現象が起こり得た理由こそ、アイドル文化の中から興起したにもかかわらず、また子供達なのにもかかわらず、唯一BABYMETALが大人文化の要素を備えて体現し、その出処進退の振舞いとしていることなのである。
しかもその上に、子供文化として育まれた「カワイイ衣」を纏ってその権化と化している。
皮肉なことに、いわば古今の日本文化の粋を備えた唯一の存在という立ち位置なのである。
だから唯一世界に通用するグループとなっている。
欧米諸国の人々が狂喜乱舞して迎えるのも宜なるかなというところか。
BABYMETALの世界進出の実相は、「世界でも例外の特殊日本的スタイルの音楽」が、「日本の歴史上にも例外的な時代文化状況の下」において、「日本の音楽業界でも例外的なBABYMETALというグループの存在」によって、「パラドックスそのものの現象」として、すべて「例外尽くし的に成功した」のである。
それ故にこの現象は日本の歴史にも二度とないことなのである。
BABYMETALの音楽パフォーマンスの裏付け・背景となっているものを広範多岐にわたる側面から解剖して解説し、BABYMETAL現象と日本文化の未来における展望を描く。
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