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あのころ、早稲田で

著者の中野翠さんは、1946年生まれの、まさに戦後ベビーブーマー第一世代(団塊世代)。
1965年に早稲田大学第一政経学部経済学科に入学するも、何とクラスに女子はたった2人だった。
高校時代から『共産党宣言』やエンゲルスの著作を読みかじり、左翼にシンパシーを感じていたため、大学では「社研」こと社会問題研究会に入る。
『されどわれらが日々--』に触発され、大学に入ったら苦悩する「真摯」な生き方を目指すはずだったのに、入学した翌年に勃発した早大闘争にも今一つのめり込めない日々……。
とはいえ、1965年前後の早稲田のキャンパスは多士済々だった。
キャンパスのベンチに座っていたら、いきなりオルグしてきた「粋な顔立ち」の革マル派トップは、のちの宝島社社長・蓮見清一。
面識はないけれど、タモリも吉永小百合も、『突破者』の宮崎学も久米宏、田中真紀子、二学年下の村上春樹も同時期に早稲田にいた。
同じ部室の文研(文学研究会)には、のちに直木賞作家となる高橋義夫や、呉智英こと新崎智も在籍し、すでに歴史的かなづかいで奇妙な小説を書いていたのだ。
真摯な左翼を目指しながらも「運動」にはのめり込めず、60年代に花開いたサブカルチャー(「ガロ」、早稲田小劇場、ATG)、ポップカルチャー(グループサウンズ花ざかり)を享受した。
名コラムニストが懐かしくも恥多き青春を、初めて振り返った書下し作品。




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