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安全保障は感情で動く

地政学だけで国際政治や安全保障を語るなかれ。
近年、国際政治を読み解くツールとして地政学が脚光を浴びてきた。
土地という、変更の効かない要素を軸にした地政学は、たしかに百年単位の国家戦略を考えるうえで、重要な視点である。
しかし、地政学だけで現実の国際政治を予測し、対応することは可能なのだろうか。
とくに戦争は、地政学的、言い換えれば客観的な要素だけで起きるのではない。
独裁国家であるなら独裁者の信念(もしくは誤信)、民主国家であるならば大衆の気分によって、戦闘の火蓋が切られることが多いのは、歴史が証明している。
朝鮮戦争では、南進してもアメリカは参戦してこないという金日成の誤信から始まった。
外国の例を持ち出さなくても、大東亜戦争は、客観的には敗戦必至の戦争であったにもかかわらず、国民の強い声に押されて始められた。
よって、安全保障は客観性だけでなく、指導者や国民の感情といった主観的な要素が、もっとも大きなファクターになるのである。
北朝鮮が、国際情勢を無視してミサイル実験を繰り返すのも、金正恩の主観に分け入らなければ理解することはできない。
そして、大方の予想(これも客観的予測)を裏切って当選したトランプ米大統領の主観も、今後の世界の安全保障を大きく左右する。
元自衛官にして安全保障の論客である筆者が長年温めてきた戦略論の決定版!【目次】第1章「見捨てられた人々」の逆襲が始まった第2章アメリカ合衆国が最大の懸念となった第3章第二次朝鮮戦争が始まる第4章米中戦争の可能性が「非常に高い」理由第5章だから戦争はなくならない




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