修験道の厳しい修行に身をおいた円空。<br />旅を棲家とした木喰。<br />二人の「ひじり」の作った仏像には、極めて大きな違いがある。<br />孤高にして厳しく知的に冴えた刀痕と清潔にして火のように激しい意志的な造型の円空仏。<br />日本の仏像彫刻で忘れ去られた完全な一本彫りを試み、自刻像をはじめ飄逸な作品を多く残した木喰。<br />仏教民俗学の泰斗が両者の足跡を丹念に歩き、作られた仏像を通して、芸術的側面だけではなく宗教的側面の謎に迫る。<br />