UXグロースモデル アフターデジタルを生き抜く実践方法論
すべてがオンラインになる「アフターデジタル」の世界では、産業構造が大きく変わり、従来支配的な地位にあった企業がそうではなくなってしまいます。
大企業にとっては大きな変革の必要を迫られる危機であり、同時に新たなステージに上がる機会とも言えます。
著者の前著『アフターデジタル』『アフターデジタル2』にはビジョンや思想が語られていますが、実践するには具体的な方法論が必要です。
それが本書で解説する「UXグロースモデル」です。
「アフターデジタル」という言葉を打ち出したビービット社内で使われている手法をまとめたもので、前著を読んで「危機感を抱いたが、どのようにすればいいのか分からなかった」という読者にとっては待望の本といえます。
中心にあるのは「UX」です。
本書でいう「UX」とはデザインやアプリの使いやすさに留まらず、価値やビジョンをどのような体験で包括的に具現化するのかという意味であり、方法論の名称に使われるほど重要です。
また、方法論の前提として、「新たなユーザー理解」が説明されています。
これは、人の購買行動などを理解する考え方を指し、「従来の考え方は間違っていたのではないか」と主張しています。
これまで疑問を抱くことなく採用されていた「心理探究型」を「メカニズム解明型」に変えるべきであるという主張ですが、ただの主張ではなく論理的な説明になっているため、ここだけでも本書を読む価値があります。
アフターデジタル「初の実践書」である本書が多くの企業でバイブルのように使われたなら、デジタルビジネスで出遅れた日本企業の立ち位置が変わるかもしれない。
そんな期待を抱かせる1冊です。
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