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「俳優」の肩ごしに

日本を代表する演技派俳優が来し方を振り返り、即興風に綴った初の自伝!――実人生と俳優業の原理は似ている。
そこがおもしろい――8月の日経新聞朝刊に連載された俳優・山崎努さんの「私の履歴書」が早くも待望の書籍化です。
連載では掲載しなかった章も多数収録、滋味深き文章にさらに磨きがかかった作品に仕上がっています。
3、4歳の頃、染物職人の父におぶわれて散歩に連れて行ってもらった松戸の川べり。
父の肩ごしから見ていた、赤い襦袢をまとった’狂人’への畏怖が、自分の俳優業の原点ではないかと書く少年時代。
そこから上野の映画館でマーロン・ブランドを観て俳優を志す高校時代までは、なぜ自分がのちに俳優になったか、その原点を当時の思いもよらなかった行動から掘り起こしていきます。
そして俳優座養成所から文学座へ。
黒澤明監督の『天国と地獄』の誘拐犯人役にオーディションで選ばれてからは、映画、舞台、テレビドラマで、演技派俳優となっていく半生を、俳優・山崎努の肩ごしから見つめて紡いでいきます。
登場する人物は芥川比呂志、岸田今日子など新劇の人たち。
森繁久彌、三船敏郎といった映画界の人たち。
現代テレビドラマの最高傑作のひとつ「早春スケッチブック」の脚本家・山田太一、寺山修司、和田勉。
さらに山崎さんの主役が欠かせなかった映画「お葬式」の監督・伊丹十三。
日本の俳優の演技に違和感を持ち続けたゆえに親友となった英国の俳優・演出家テレンス・ナップ……最後は円環を描くような余韻深きラストシーンが待っています。




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