夏目漱石『三四郎』冒頭の名古屋駅、「勝負に打って出る玄関の駅」と言った升田幸三の大阪駅、出征・帰還の軍用列車が発着した品川駅……。<br />明治初年の岩倉使節団で久米邦武が見出したように、「駅」は近代文明の本質を表わす場となった。<br />大衆化・大量化する鉄道とともに変貌していく駅の姿を辿り、鉄道史から近代をとらえ直す。<br /> 〈解説〉老川慶喜