ワシントンのスミソニアン博物館で計画された「原爆展」をめぐって、アメリカでは原爆論争が再燃した。<br />原爆が戦争終結を早め、多くの人命を救ったとする「神話」を考え直そうとする人々が、冷静な議論を提起したのである。<br />結局「神話」の優位は揺るがなかったが、アメリカが持つ自己検証能力の健在ぶりは明らかになった。<br />本書は、全米での幅広い声を取材し、戦後五〇年を経て、なお隔てある日米の歴史観の差の源を探るものである。<br />