南米生まれのジャガイモは、インカ帝国滅亡のころ、スペインに渡った。<br />その後、フランスやドイツの啓蒙君主たちも普及につとめ、わずか五百年の間に全世界に広がった。<br />赤道直下から北極圏まで、これほど各地で栽培されている食物もない。<br />痩せた土地でも育ち、栄養価の高いジャガイモは「貧者のパン」として歴史の転機で大きな役割を演じた。<br />アイルランドの大飢饉、北海道開拓、ソ連崩壊まで、ジャガイモと人々をめぐるドラマ。<br />