親鸞の教えと『歎異抄』の間には絶対的な距離がある。<br />この距離の意味を考えない限り、日本における「根元悪」の問題も、「悪人」の救済という課題も解けはしない。<br />中世以来、あまたの人々の心を捉え読み継がれてきた『歎異抄』は、弟子・唯円の手になる聞き書きであった。<br />だがその唯円は、「裏切る弟子」=ユダではなかったか。<br />本書は、『歎異抄』を解体しつつ、現代社会に濃い影を落とす〈悪〉という難題に対峙する。<br />著者の親鸞理解の到達点。<br />
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