内憂外患にあえぐ落日の清朝にあって、ひときわ強い輝きを放った一代の女傑、西太后。<br />わが子同治帝、甥の光緒帝の「帝母」として国政を左右し、死に際してなお、幼い溥儀を皇太子に指名した。<br />その治世は半世紀もの長きにわたる。<br />中級官僚の家に生まれ、十八歳で後宮に入った娘は、いかにしてカリスマ的支配を確立するに至ったか。<br />男性権力者とは異なる、彼女の野望の本質とは何か。<br />「稀代の悪女」のイメージを覆す力作評伝。<br />