先進国の大学で、戦略や軍事と題した講義を聞けない国は日本だけだという。<br />しかし、日本が自分の意思にかかわらず戦争に直面せざるをえない場合のことを考えておくのは、平和を望む者にとって、ごくふつうの教養の一部なのではあるまいか。<br />歴史への深い素養と、豊かなコモンセンスに裏打ちされた本書は、あくまで戦後日本が達成しえたデモクラシーの復元力に希望を託す、初の国家戦略論である。<br />