「風林火山」を旗印とする百戦錬磨の闘将・知将として強調されるあまり、武田信玄は時代を超越した極めて特異で偉大な人物になっている。<br />しかし信玄といえども時代の子であり、社会に規制されて生きるところが大きかった。<br />その信玄を知るには、個人を特別視することなく、戦国という時代の特徴を認識しなければ、真の人間像には迫れない。<br />従来の伝説的な英雄論の枠組みを取り払い、社会の中の戦国大名として生きた武田信玄像を描く。<br />