経営のコツここなりと気づいた価値は百万両
松下幸之助「心得帖シリーズ」を締めくくる本書の標題は、昭和九年の元旦に、松下が社員に‘お年玉’として贈った言葉だという。
松下がこの言葉に託したのは、いかに学問、知識にすぐれ、人格的にも一点の非の打ちどころのない人であっても、経営者として成功するかというと、必ずしもそうではない。
成功するには、それに加えて‘経営のコツ’をつかまなければならない。
そして、その‘コツ’とは、教えてもらって「分かった」というものではなく、いわば‘悟り’のようなものだという。
本書には、まさにこのような、松下自身が日々の経営の中から‘悟った’言葉が出てきて興味深い。
いわく「任せて任せず」「雨が降れば傘をさす」「好況よし 不況さらによし」といった具合である。
確かに何事にもコツというものがある。
今まで出来なかったことがフッと出来た瞬間である。
松下が悟った‘経営のコツ’を、現在の経営環境と引き比べて読んでみるのも面白そうだ。
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