お前はそれでも日本人か
その日、滞在先の小屋から閃光とキノコ雲を見た川内豊さん(1930年生まれ)は、何が起きたのかわからなかった。
長崎市から運ばれてきたけが人は、破れた服、黒く焦げた頭髪、肩や腕から焼けただれた皮膚が垂れ下がり、赤黒く乾いた中からさらに鮮血がしたたっていた。
男女の区別もつかなかった――。
その後、米軍基地の作業員、そして通訳として働いた川内さんの胸の中には、学業の資金まで出して支援してくれた米軍属への感謝の思いと、日本の被爆者としての割り切れない思いが、つねに併存してきた。
米国を憎めない。
だが、「核は絶対にこの世にあってはいかん」。
かつての「敵」のもとで働いた元通訳のパーソナル・ヒストリー。
※本商品は通常の書籍より文字数の少ないマイクロンテンツです。
【文字数:11600文字/単行本換算で16ページ】
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