虚空のマネー
「あの取引所は来週末に破綻するだろう」。
米金融当局の関係者(50)がそう伝えてきたのは、2014年2月19日の夜のことだった。
仮想通貨ビットコインを扱う私設取引所「Mt.Gox(マウント・ゴックス)」はその1週間後の2月26日、突然すべての業務を止め、週末28日に民事再生法適用を申請して破綻した。
この破綻により、日本でもにわかに注目を集めたビットコインは、09年に登場したネット上の仮想通貨。
特定の発行者や管理者がなく、コンピューターで設定された複雑なプログラムを解くとコインがもらえる仕組み。
ほぼ無料で世界各地に瞬時に送金できるので、IT関係者を中心に急速に普及したが、国家による信用の裏付けがなく、麻薬売買や資金洗浄などに使われる怖れや、米ドルの基軸通貨としての地位を揺さぶる可能性が指摘されており、米金融当局はすでに13年5月から、主要な取引所を監視下においていたのだ。
金融業界をゆさぶる仮想通貨のインパクトを活写するレポート。
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