人に逸話あり。<br />─酒席の余興で色っぽいお蔦になった小津安二郎監督、撮影の小道具用に50匹の蠅を捕ってきた山口淑子、真冬の朝、陸軍入隊を見送ってくれた島津保次郎監督。<br />ある秘密の手術に付き合わされることになった越路吹雪など、個性豊かな人々との思い出をユーモラスに綴る。<br />愛情あふれる筆致で紡ぎだした30篇の軽快なエッセイ集。<br />ユーモラスでちょっとシニカルな視点に、骨太の人間観がかいま見える。<br />