「第九」の合唱と「不滅の恋人」 ベートーベンの心の発展
J.W.N.サリバンの名著、『ベートーベンの心の発展』の新訳に、訳者が、いくつかの「補説」をつけ加えて、ベートーベンの心に迫る近道を開こうとしたのがこの本です。
サリバンのこの書は、作曲する現場のベートーベンの心境をみきわめながら、数々の名曲の世界を説き明かした、面白くて、しかも深い内容を持つ一冊です。
1937年の刊行後、数十年ものあいだ、欧米では、高い評価を得ていました。
訳者の補説は、「第九」の合唱と「不滅の恋人」の関わりを述べたものです。
ベートーベンの死後に発見され、ベートーベンの生涯にまつわる最大のナゾとされている「不滅の恋人」に宛てた手紙と、「第九」の合唱のあいだに、重大な関わりがある、と訳者は推測しています。
かすかな手がかりを逃さず、想像をたくましくし、しかも、最新の学説にも目配りをしながら、手紙と合唱のあいだに、ベートーベンからの重大なメッセージを聞きとっています。
この国と世界の未来が、こんとんとして見定めにくい今、まずは、ベートーベンにならって、自分の心をとらえ返し鍛えて、たしかに自分のものと言える人生を創り出すことが必要です。
そのためにも、これは、いま、読む価値のある名著です。
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