いとし子よ
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私はよい父であったろうか。
本書はその反省の上に立って、二人の幼児への遺訓という形で綴られているが、これはわが子誠一と茅乃だけに対する遺誡ではない。
「わがいとし子よ。
〈なんじの近きものを己の如く愛すべし〉そなたたちに遺す私の言葉は、この句をもって始めたい。
そしておそらく終わりもこの句をもって結ばれ、ついにはすべてこの句にふくまれることになるであろう」という言葉で本書は書き出されている。
身近な話題の中に、わが子とすべての人間に対する切々とした思いを取り上げ、親は子どもに対する、子どもは親に対する愛情をいやが上にもかき立てられる。
聖フランシスコ・ザベリオ渡日400年記念式典が浦上天主堂で行なわれた翌日、思いがけず教皇特使の見舞いを受けた際の悦びは、子どもたちにとっても無形の遺産となったにちがいない。
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