乙女峠 津和野の殉教者物語
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1865年2月17日に献堂された大浦天主堂は、フランス寺と呼ばれた。
3月17日、浦上の隠れキリシタン10数名が信仰を告白しにやって来る。
「サンタ・マリヤのご像はどこ?」その後、「浦上四番崩れ」の大迫害が始まり、キリシタンは‘津和野’へ流される。
彼らは「サンタ・マリヤ様」に祈りながら、役人たちの執拗な責め苦にも屈することなく、一人また一人と絶命していく。
幕末から明治期に、浦上のキリシタンたちを襲った「浦上四番崩れ」の実相――大浦天主堂での信徒発見から津和野への追放、棄教を迫る拷問、殉教、そして信仰の自由を勝ち取った後、浦上へ帰還するまでの歴史が鮮明に描かれる。
キリシタンを題材にした永井博士の珍しい作品である。
著者は1951年4月22日に脱稿し、5月1日に帰天したため、上梓を見ることは叶わなかった。
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