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星条旗と日の丸 アメリカの体験から日本の教育を考える

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アメリカの公立学校に小・中・高校、3人のわが子を通わせた体験をもとに、日本の教育の姿を浮かびあがらせる。
いじめ、管理主義、学力、戦争、能力別指導など11のテーマをとりあげ、よさも悪さも含め、その違いをくらべることで、日本の教育を改める方途をさぐる。
【電子化へのメッセージ】 ‘星条旗と日の丸’を1987年に出版してから27年が過ぎました。
2014年の今、なぜ、古い本を電子ブックとして再度出版するのか、皆様にお伝えしたいと考えます。
何よりも、議論を避ける風潮が日本社会に1980年代よりも広がっているのではないかと危惧しています。
日本の政府は総理大臣を先頭に、議論を避けながら憲法9条の解釈変更を強行しました。
この本で報告しましたように、米国の学校教育は小学校から大学まで、議論しながら学ぶ伝統があります。
インターネットを通じてニュースが瞬時に世界を駆け巡る今、議論を避けた日本の憲法解釈変更を米国市民は驚いて見つめているでしょう。
日本の若者が日本の政権発信のネット情報を無批判に読んでいると、グローバル化の時代に対応する力を得ることはできないのではないでしょうか。
一方、グローバル化の時代だから英語教育開始を低年齢化しよう、という政府の新しい教育方針が報道されています。
日本では昔から、日本人は英語の読み書きはできるけれども聞く、話すが不得手だと言われてきました。
しかし、学校教育だけで英語を学んだ日本人が最も苦手なのは英語で自分の考えを論理的に書くことでしょう。
学校では、和文英訳が英語を書くことだと思われているふしがありますが、個の主張を育てる指導体制が無い日本の学校教育で、たとえ小学一年生から英語を教えても論理的な英語で文章を作れるようにはならない。
英語を話す力を育てることについても、主張がなければコミュニケーションは成り立たない。
英語で話すためには個の主張を持つことが必要だということです。
あいさつやあいづちを打つことが英語でできても、話し合いにはならない。
日本の子ども達、若者たちは、日本と世界の今を論理的に考えることが必要です。
私の子ども達が通った米国の小学校で、日本による真珠湾攻撃は毎年復習される項目でしたが、日本の子どもたちはこの事実をほとんど教えられず、むしろ広島長崎の被爆や8月15日の‘終戦’記念日が知られています。
米国の高校の歴史教科書にも、ヴィエトナム戦争で米軍が何をしたかを明確に記載しないものがありました。
日本だけでなく米国でも自国の歴史教科書を美化したいという意図があるのでしょう。
しかし、本を沢山読ませ、考えさせ、書かせるという米国の学校では、教科書編集者の意図を生徒は批判的に検討することができます。
一方、日本の学校の歴史教育は、相変わらず受験をにらんだ暗記中心です。
この危惧が、この本を再度世に送る所以です。
なお、本文の以下のページに用いた‘母国語’という表現を‘母語’と訂正できればと願っています。
P. 61, p. 63, p. 213 2014年7月7日 著者




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