1944年に上演されたアルベール・カミュの3幕ドラマ『誤解』の新訳である。<br />『誤解』はアルジェリアの新聞の雑報で報じられた親族殺人のアルベール・カミュによる解明である。<br />聞き手の誤認に根拠を置く誤解という言葉は、実際には話し手側の誤情報や隠蔽という原因を隠すことがある。<br />「誤解」の世界は単なる親族殺人という事件を超えて、ちょうどサルトルが同年に発表した『出口なし』の示したように、人間社会におけるコミュニケーションの闇をカミュが提示した問題作である。<br />